「EDAYA」はフィリピン・ルソン島 北方山岳先住民族で竹工芸家エドガー・バナサン氏と、山下彩香氏が2012年より共同で開始したプロジェクト。主な活動内容は、フィリピン共和国の一地域にて失われつつある文化を現在に受け継ぐ人々との「新たなものづくり」、彼らの可能性を引き出す「様々な機会づくり」への挑戦です。
本展示企画では、そんな「EDAYA」プロデュースによる工芸の技術を活かしたオリジナルアクセサリーや竹を用いたオブジェとともに、伝統楽器の製作も手がけるエドガー氏による竹製楽器および楽器制作に用いられる道具、そして「EDAYA」活動紹介の写真が「ものかたり」で披露されました。
さらに期間中は「EDAYA」の活動内容レクチャー、伝統楽器の演奏体験、さらには木片から自分だけの道具を発明するワークショップを実施しました。
ルソン島の人々は、暮らしに必要な道具の多くを手作りしているそうです。「ものかたり」で展示された楽器制作の道具もまたエドガー氏が開発したものでした。それは自身の手が必要とする形を、想像力によって生み出す作業ともいえます。
わたしたちは、自らが必要とする道具を、想像力と工夫によって生み出すという感覚をどこまで持ち得ているのか。失われゆく価値を記録・保護するよりも、むしろその変化をいかにして受け入れ、未来に伝えようとするのか。美しい造形を鑑賞するとともに、各人が問いを持ち帰るような展示となりました。