かつて五城目は、秋田と北東北とを結ぶ陸上交通の要所であり、いっぽう海上からは、北前船などを通じて関西方面の文化も移入する交易圏でした。町では朝市が交換の場として栄え、東北と多様な文化が混ざり合う交流地点だったと言えるかもしれません。
「ものかたり」となった家屋は、その外観は一見すると町並みに溶け込んでいます。しかし母屋の内観は、連なる客間と長い土間からなる京町屋のようでありながら、雪害を防ぐための屋根で覆われた「内蔵(うちぐら)」と繋がっています。この特徴的な構造にも、異なる文化が入り混じる様子がうかがえます。
◉母屋【Library】
母屋の建築的な特徴を活かした展示スペース。展覧会・ワークショップ・トークイベント等を開催。絵本・書籍のほか「あなたの役に立つ道具」を展示販売する。
◉内蔵【Storage】
母家と屋内で繋がる土蔵=内蔵(うちぐら)を活用したスペース。一階は滞在ゲストが制作・実験・執筆等に使用できるスタジオ。二階は一組限定のゲストルーム。
「ものかたり」は秋田県五城目町にある大正期の民家を改修したアート・ギャラリーです。「展示された“もの”そのものが“語る”」声に耳を傾け、自由に想像できる余地=余白の感じられる空間で、美術分野に限らず、生活にさりげなく組み込まれた芸術までも幅広く取り上げて紹介します。